ALBUM
『Night at the Circus vol.1』

CD1
1. 初恋 (5'05'')
  高石ともや/Traditional
2. Tennessee Waltz (5'59'')
  Pee Wee King/Redd Stewart   
3. 黄金三星~肝にかかてぃ (5'59'')
  照屋林賢  
4. Nature boy (5'45'')
  Eden Ahbez
5. かくれんぼの空 (5'28'')
  酒井俊/Victor Jara   
6. 叱られて (4'47'')
  清水かつら/弘田竜太郎
7. 星影の小径 (3'20'')
  矢野亮/利根一郎
8. The Way We Were (6'42'')
  Alan and Marilyn Bergman/Marvin Hamlisch
9. Alabama Song (6'38'')
  Bertolt Brecht/Kurt Weil
10. Hallelujah (6'19'')
  Leonard Cohen
11. Wonderful Tonight (6'54'')
  Eric Clapton


酒井 俊 … vocal
田中 信正 … piano

Recorded at ひまわりの郷 Oct 09 & 11,2007
recording engineer:田中 篤史

CD2
1. Old Black Joe (8'31'')
   Stephen Collins Foster
2. You Are My Sunshine (4'03'')
  Jimmie Davis/Charies Mitchll
3. 君のために (11'15'')   
  早川義夫
4. 叱られて (7'27'')
  清水かつら/弘田竜太郎
5. 買物ブギ (3'31'')
  村雨まさを/服部良一
6. My Man (9'58'')
  Channing Pollock/Maurice Yvan
7. 四丁目の犬 (5'46'')
  野口雨情/本居長世
8. かくれんぼの空 (6'26'')
  酒井俊/Victor Jara
9. I Shall Be Released (8'20'')
  Bob Dylan
10. Crazy Love (6'32'')
  Van Morrison
11. Good Night (5'18'')
  John Lennon/Paul McCartney


酒井 俊 … vocal
田中 信正 … piano
guest:
太田 恵資 … vl
岡部 洋一 … per

Live Recorded at 公園通りクラシックス Feb 09 & 11,2008
recording engineer:田中 篤史

約8年半振りとなる、酒井俊のプロデュースによる2枚組の作品。新作アルバムである。酒井俊らしいと評されもした、日本語と英語の歌の間の横断、しかし、見事にジャズの範疇だけに括られてしまう音楽状況。彼女は懸けにでた。2004年位から、あらゆるジャンルの壁を一度崩壊させ、酒井俊の歌としてライブの現場で毎夜毎夜新たに再生させていこうと、不断の試みへとステージは変貌していった。同時に、即興演奏と世界中の民族音楽の影響を受け、古いトラディショナルナンバーへの傾倒を反映し、それぞれの楽曲が内包するイメージや世界を掘り下げていくことで表現の深化を図る方向で歌を育てていこうと。今回の二枚組のアルバムは、同時進行しながら全体を形成する酒井俊のライブの複数のプロジェクトの一つから、ピアニストの田中信正とのデュオを音源化。1枚目は響きの豊かなホールで、繊細で豊かな声の襞とピアノとの交歓を捉えた録音。2枚目はゲストにヴァイオリンの太田恵資とパーカッションの岡部洋一を迎えた、ダイナミクス溢れるライブ録音。同じ編成で同じ歌を歌ってもまったく異なる音楽としてそこに生起することはライブを見ている者には周知の事実であるが、ここまで異なるものを高次元の表現において実践している者は世界的にも極めて稀な存在である。そのわずかばかりの片鱗を伝えるのが本作であり、ジャズファンや全国に広がる酒井俊ファンだけでなく、あらゆる音楽を好きだと自認している人々や音楽を普段聴かないような方々にこそ聴かれるべき驚愕の歌。音楽を聴くために小難しいことは一切なく、ただその歌の世界に浸ることでその素晴らしさを実感することができる“歌”の詰った二枚組。

CD発売に際しての田中君のコメント

出会いって、必要な時に訪れる。その人の経験にとって本当にふさわしいタイミングで。

今まで、そう感じ、信じてきたし、いろんな出会いを経験してきた。今も、それが続いていたり、熟成していたり、、。ありがたい。音楽の事も、それ以外の事も、どの出会いも、必要な事だったんだなとよく解る。

自分の音楽的な経験や流れが続いてきた中で、俊さんとの出会い、俊さんがやりたいと思っていることと出会えたことは、自分にとっての転機でもあった。

最初は、よくわからないままだった。初めてリハーサルに伺い、合わせた曲は、多岐にわたっていて、ジャズの曲もあれば、フォークソング、童謡、歌曲、ロック、ゴスペル、、、、、スリーコードの曲をどうやったらいいんだろう、という事など、今思うと、本当、初歩的(?)な葛藤もあった。

最初の一年くらいは、まったく同じメンバーでの演奏はなかったし、毎回、必ず、A3の用紙に手書きでセットリストとそれぞれの曲の構成、そしてイメージ、がびっしり書かれていて(最近は、簡略化されている日もあるけれど。笑)曲のイメージをみんなで共有する事(俊さんが歌いたいシチュエーション的なイメージだったり、音楽的なイメージだったり)そこから広がる世界、、、、時には、俊さんの歌を意識せず、みんなが林さんの演奏とか、関島さんの演奏に対して自分の演奏をする、という曲もあったり、、、時には、私は林さんのみで歌う、みんなは背景を、、、とか。。。本当、いろいろ。

2007年の横濱ジャズプロムナードの時、それまでやってきたいろんなメンバーが集合して「酒井俊オーケストラ」として演奏した。何のアレンジもない、いつもと同じコード進行とメロディーだけの譜面。その時、なんか、わかった。ちゃんとみんなでの世界が成り立った。みんなが自分の音を出して、歌の世界を共有していた、、、今まで、いろんな組み合わせでやってきたことは、こういうことだったんだ、と思った。

即興、、、楽器的なヴォイスの世界の醍醐味もあって、すごく面白い。でも、「歌」としての即興、はどういうことなのか、即興であり、歌であり、まさしくその曲である、、、そういうことを、俊さんから学んだし、今も、それは続いている。

演奏者って、こうじゃなくちゃ自分じゃなく、そうじゃなくちゃ聴いてくれる人が満足しない、という所に陥ってしまう状態があると思う。それは素晴らしい事ではあると思う。でも、本当のその人自身は、もっと違う次元にあるのかもしれない、、、、その場でどうたたずむか、たとえ何も音を出せなくても。それが、その人自身なんだ、、、そんな事も、俊さんから教わった。ピアノは、ある意味、不自由な楽器。内部奏法とかもあるけれど、ピアニストはいつも88鍵に置き換える、、、、内部奏法から、ピアノ一音の音色の持つ色、、、そういう可能性、も教わった。もちろん、俊さんの歌に、どんなアーティキュレイションで、どんな響き
(和音も重音も単音も)で寄り添うか、、、も含めて。

今回のCDの1枚目のDUOのレコーディングは2007年、それまで、そんなにはDUOをしてなく、難題と葛藤と、、、今思えばそうであったけれど、弾き語りのように、歌を感じ、響きを感じ、お互い寄り添いあう緊密な時間だった。
その時わからなかったことを今は知っている、その時できなかった事を今は出来る、まだわからないこともありできない事もあり、そしてそれはこれからも続くけれど、、、、

CD(しかも2枚組。二枚目はDUO+岡部さんと太田さん、、、4人のユニットではなく、DUO+、というコンセプトも重要。。
すごい!俊さん。。)、体現してください。そして、俊さんが歌いたい歌の、鍋にかかっているようなそれぞれの曲の行く末、これから加わっていく曲たち、そしてそのイメージの共有、場、を是非、ライブ会場で体現なさってください。俊さんのライブ演奏は、自分にとっては、いつも難題が含まれ、自分の感性や可能性を拓いてくれる場、毎回完結しつつも過程の場、でもあります。
俊さんの世界に出会えて、自分の感性も、ありのままな方向に開放されてきました。
(田中信正)

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